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Antigravityで著作権切れの書籍をAI私家訳する

TL;DR(SEO対策した要約)#

著作権切れの書籍をProject GutenbergからダウンロードしてAntigravityで翻訳、EPUB化する方法。費用は実質無料(有償プラン推奨)、作業時間約1-2時間。

この記事で分かること#

  • Project Gutenbergでの著作権切れ書籍の探し方
  • Antigravityによる自動翻訳ワークフロー
  • ハルシネーション対策のための翻訳指示テクニック
  • HTML→Markdown→XHTML→EPUBの変換プロセス
  • AndroidスマホへのEPUB転送とKindle連携

背景#

AI検索やLLMサービスとのチャットにより、情報をインスタントに摂取できるようになった。

しかし、本を読むという事の意味が失われたとはまだ思っていない。

ただ、書籍一般は高い。3000円ほどあれば、AIの20ドルプランに1月契約できるが、まともな書籍となると数冊だ。それで積んでしまえば本棚の肥やしになるだけだ。

だとしたら、著作権切れの古典をAI翻訳すれば良いんじゃないか?

必要なもの#

権利関係の裏取り#

著者の没後70年など、とにかく翻訳予定の本が著作権切れとなっているか確認すること。最悪、海賊版を掴むことになる。

Project Gutenbergなど、外国版青空文庫のようなものがあるので、そちらを使用してみよう。

https://www.gutenberg.org/

AIコーディングの環境#

Antigravityでいい感じにしてくれる。

テキストの翻訳は結構トークンを食うので、有償プランを契約していると好ましいが、時間をかければ無料でできるはず。

AIを取り扱うという覚悟#

ハルシネーションを起こすおそれがある#

これは仕方ない。今日日起こるのは稀かもしれないが、専門的な内容になったりコンテクストが長くなるとちょっと厳しくなる。

最初は短編の小説とかを翻訳しても良いかもしれない。

LLMは言語の統計でしかない#

翻訳に作家性はあまり出てこない。つまり退屈な翻訳になると考えられる。

詩的な文学作品については、AI私家訳は諦めたほうが良いかもしれない。

やってみよう#

マルクス・アウレリウス『自省録』の英語翻訳版があった。

https://www.gutenberg.org/ebooks/2680

映画『ホールドオーバーズ』で主人公の一人であるポール・ハナムが愛していた本だ。

DLから英文MD変換まで#

ZIPで落として解凍した。私はNoah派だ。

中身は表紙画像とHTMLなので、まずはMDにしてあげよう。

Antigravityで「HTMLを各章に分けてmdを作成してください」みたいな感じで指示を送ったらpyファイルを作って章ごとに分割したmdを作成してくれた。

特に語ることが無くてびっくりした。

英文md→日文mdの翻訳指示#

指示文もAIに考えてもらった。

## 翻訳指示時
翻訳方針:
- 原文に忠実な直訳寄り
- 学術書・技術書として自然な日本語
- 意味が曖昧な箇所は、訳文中に(※原文曖昧)と注記する
- 原文の段落構造を維持する
- 意訳・要約・解説の追加は禁止

ハルシネーション減少の一助となってくれたらうれしい。

1時間ほどAntigravityの提案をAcceptし続けていたら、日文mdが出来た。

冒頭を引用してみよう。

I. Of my grandfather Verus I have learned to be gentle and meek, and to refrain from all anger and passion. From the fame and memory of him that begot me I have learned both shamefastness and manlike behaviour. Of my mother I have learned to be religious, and bountiful; and to forbear, not only to do, but to intend any evil; to content myself with a spare diet, and to fly all such excess as is incidental to great wealth. Of my great-grandfather, both to frequent public schools and auditories, and to get me good and able teachers at home; and that I ought not to think much, if upon such occasions, I were at excessive charges.

↑英訳版本文

I. 祖父ウェルスから、私は温和さと柔和さ、そしてあらゆる怒りと激情を慎むことを学んだ。私を産んだ人の評判と記憶からは、廉恥心と男らしい振る舞いを学んだ。母からは、信心深さと寛大さ、そして悪を行うことだけでなく、悪を意図することさえも慎むことを学んだ。また、質素な食事で満足し、莫大な富に付随するあらゆる過度な贅沢を避けることを学んだ。曽祖父からは、公立学校や講堂に通うこと、そして自宅に良き有能な教師を確保することを学び、またそのような場合には、過度な出費となっても気にすべきではないことを学んだ。

↑AI私家訳文

いい感じかもしれない(廉恥心は慣れない言葉だが、困ったら原文を参照すればよかろう)。ただ、人名は時折変わってしまうかもしれないなと経験則が分析。

XHTMLの作成、EPUB作成#

翻訳が終わればもうこちらのものだ。

XHTMLに変換するように指示し、その後EPUBに変換する。

## 章分け指示時
EPUB用のXHTMLを意識して整形してください。
ルール:
- 各章は <h1>、節は <h2>
- 段落は <p>
- 本文内容は一切変更しない
- 1章 = 1ファイルを想定した分割出力
- 各ファイル名案も併記する

EPUBをスマホに送信してKindle(Android版)で開く#

ここからは人力部門。

エクスプローラから右クリック、「スマートフォン連携」をしていたので「My Phoneに送信」をクリックしたら端末に送信される。

Androidに正常に送信ができたら、「共有」から「Kindle」を選択。しばらく待てば変換が終わり、アプリ内で表示されるようになる。